認知症のかたの想い 『おれはただ、誰かのためになりたいだけなんだ』
先日ご報告した通り、11(金)、12(土)の2日間、オムツ外し学会in埼玉に参加させて頂きました。
講師陣には、あの有名な三好春樹先生や東京の特養でオムツゼロ等の『7つのゼロ』を実践している、駒場苑の施設長代理 坂野悠己さんや、宅老所はいこんちょの小林敏志さん等、ベテランから30代の注目の若手まで多彩な方達の話を聞かせて頂きました。
この研修の中で、小林敏志さんが支援しているある認知症の男性の話をしてくれました。
物忘れが多くなってきた。それに伴い、怒りっぽくなってきた。暴力を振るう事も出てきた。
世で言う典型的なBPSDです。小林さんはこの男性に話を聞いたところ、こう答えたそうです。
『おれはただ、誰かの為になりたいだけなんだ。』
自分の想いと違い、物を忘れてしまう。思い通りに動けない。言えない。そんな自分にイライラしてしまう。そして周りの人にもあたってしまう…
これが、本人から見たBPSDの中身です。自分が同じ立場になったら、どうでしょうか?
私ならきっと、この男性と同じ行動をとってしまうと思う。
人にとって、人生の目的とは何でしょうか? 勿論、人それぞれ違うはずです。
でも、『おれはただ、誰かの為になりたいだけなんだ。』って言葉に真実を感じませんか?
子供はゲームで負けると、感情を剥きだしにして、怒ったり、泣いたりします。
大人になると、心の底ではそう思っていても、表には出しません。
でも、一番になりたい。誰かの役に立ちたい。皆に認めて貰いたい。なんて気持ちは、きっと誰でも持っているはずです。
生きているうちに、多くの有難うを言って貰える事。
ここに居て良いのだ、誰かの役に立っているんだって思える事。それが大事な事です。
私達もそうだし、お年寄り達もそうです。皆が同じ人間なんだから。
平成29年8月25日 介護事業部長 三友 義信